現在開催中の、北京オリンピック2022。


前回のオリンピック関連記事では、東京オリンピックに出場するプラントベース(植物性食品中心)の食生活を送るアスリートをご紹介しました。実は、冬季オリンピックでもこの食生活を実践する選手が多数います。


「強靭な肉体」「高パフォーマンス」を維持するためには、動物性食材を摂ることが必要というイメージがありますが、プラントベースの食生活によってウィンタースポーツで高い功績を残したアスリートは実在するのです。


冬季オリンピックを楽しみたい、寒さ厳しい冬でもプラントベースダイエットを実践するヒントを得たいという方のために、今回はヴィーガン・ベジタリアンの歴代冬季オリンピアン5名をご紹介します。

ミーガン・デュアメル選手(カナダ、フィギュアスケート)

(出典:LUTZ of GREENS

ペア種目でオリンピックで銅メダル、世界選手権優勝、グランプリファイナル優勝、四大陸選手権優勝など、輝かしい成績を修めたミーガン選手は、2008年から動物性の食品を一切摂らないヴィーガンに移行しています。

彼女は、空港で偶然手にした『Skinny Bitch』という書籍でヴィーガニズムに興味を持ち、翌朝には冷蔵庫を一掃。その日から全粒粉、フルーツ、野菜中心の食事にシフトしたのだそうです。

CBCのインタビュー によると、以前の彼女は競技シーズン中は大きく体重が減り、オフシーズンは少し減量するなど、体重に変動がありました。しかし、ヴィーガンダイエットに移行してからは一年中同じ体重を維持しているということです。
更に肉体的な変化として、エネルギーと睡眠の質の向上肌の輝き集中力の増加を挙げています。(参考:‘Going Vegan Was Easier Than Quitting Diet Coke,’ Says Olympic Gold Ice Skater Meagan Duhamel

こちらの動画で語られている彼女の1日の食事内容からは、ヴィーガンダイエットのヒントを得ることができます。

“Every single morning, I usually have overnight oats or a big green smoothie or a somoothie bowl with some granora and that can fuel me for at least two hours of training. In between training sessions, I like to snack on trail mix bananas, apples and almond butter for granora bars and snacks like that. I don’t tend to eat such a big lunch. I tend to snack throughout the day in between each of my training sessions. And I’ll have an early hour dinner. My dinners that vary quite a lot. I find it’s very easy to make a quinoa salad throw in a couple of vegetables. I’ll do a stir-fry sometimes, I make some a big pot of lasagna or big casserole a chickpea based casserole that I can kind of eating all week long so that I don’t need preparing it.. “

(上記動画7:23より)

(仮訳)
「毎朝、オーバーナイトオーツや多めのグリーンスムージー、グラノーラを入れたスムージーボウルなどを食べています。これで少なくとも2時間のトレーニングの燃料にはなります。 トレーニングの合間には、バナナやリンゴ、アーモンドバターなどのトレイルミックスやグラノーラバーなどのスナック菓子を食べるのが好きです。昼食はあまり量を食べません。トレーニングの合間には、一日中おやつを食べることが多いですね。そして、早い時間に夕食をとります。メニューはあまり固定しておらず、野菜を2、3種類入れ簡単にキヌアサラダを作ったり、炒め物をすることもあります。他にも大きな鍋でラザニアや、ひよこ豆をベースにした大鍋を作ったりして、作り置きをしていますよ。」

2018年に競技活動を引退した彼女は、現在オウンドメディア「LUTZ of GREENS」やSNSを通じて、ヴィーガン栄養学やレシピを積極的に発信しています。

彼女はプラントペースダイエットを採用するアスリートの支援にも力を入れています。
今後の発信に目が離せませんね。

セバ・ジョンソン選手(米領バージン諸島セントクロア、アルペンスキーレーサー)

(出典:LIVEKINDLY

オリンピックで最初の黒人女性スキー選手、オリンピック史上最年少のアルペンスキーレーサー(当時14歳)として知られるセバ選手は、生まれつきのヴィーガン

母親の方針でヴィーガン料理で育った彼女は、植物性食材のみでも十分な健康と体の強さを維持して偉業を達成した経験を、多くの場で語っています。

GREAT VEGAN ATHLETES によると、彼女は「動物性食品を摂取した場合の健康と動物福祉への影響」に関する教育に携わってきました。過去にはレザー素材スキーウェアの着用を拒否し大会を辞退するなど、そのライフスタイルは徹底しています。

ヴィーガンのアスリートとして、パフォーマンスを維持するためにどのような食生活を送っていたのか。オリンピック選手村での食生活について、過去のインタビュー で彼女は次のように語っています。

「オリンピック村では、シェフがとても理解を示してくれて、乳製品を使わない厳格なベジタリアン食を提供するために最善を尽くしてくれました。私はベリーにこだわりがあったのですが、他の選手がベリーを食べている姿が後押しとなり、ベリーが豊富に手に入るように。有機大豆製品はエネルギーを与えてくれましたね。一方、ハチミツの入ったものは避けました。ピュアメープルシロップと生のオーガニックアーモンドをオートミールにかけると、私のオリンピックの朝の食事は満足感とエネルギーに満ちたものになりました。」(仮訳)

さらに彼女は具体的な食事について明かしています。

<好んで摂取する食材>
・タンパク源:アーモンド、キヌア、テンペ
・カルシウム源:ケール
・鉄分:レンズ豆、ホウレンソウ


<エネルギーをもたらす食物>
・ケールを使った非加熱料理
・新鮮な葉野菜
・オーガニックなニンジン、ビーツ、パセリ、ショウガの根を使ったジュース
・オーガニックなケール、冷凍ブルーベリー、冷凍バナナ、マカパウダー、ショウガの根、ココアパウダー、シナモン、アーモンドミルクのスムージー

(参考:Interview with Seba Johnson: Vegan Olympic Ski Racer

 

Instagramでは、彼女の日常的な食事や考え方のヒントを得ることができます。

 
 
 
 
 
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1992年にスキー競技を引退した彼女は、女優、モデル、ヨガ講師業を務めるほか、動物福祉と健康に関する啓蒙活動を行なっています。今後も彼女の多方面な活動に注目したいですね!

ボデイ・ミラー選手(アメリカ合衆国、アルペンスキー)

2014 Early season U.S. Ski Team trainig at the Copper Speed Center at Copper Mountain, CO. Photo: Sarah Brunson

大回転と複合種目にてオリンピック5大会で金1個、銀3個、銅2個、世界選手権では金4個、銀1個のメダルを獲得をしたボディ選手は、生まれつきのベジタリアンです。

 彼はオーガニック野菜やフルーツを栽培する農業を営む一家のもとに生まれました。電気も水道も通っていない広大な家地で、兄弟と共にベジタリアンの食事で育ったボディ選手。

その一貫した食習慣だけに留まらず、2005年の世界選手権の後には、出身地であるニューハンプシャー州のオーガニックファームを購入しています。Turtle Ridge Farmと名づけたファームでは、農薬や人工的な化学薬品を使わずに、トマト、トウモロコシ、アーティチョークなどを栽培し、ローカル、オーガニック、プラントベースのライフスタイルを発信しているそうです。(参考:Bode Miller: Gold Medal ski racer, organic farmer ) 

ハンナ・テッター選手(アメリカ合衆国、スノーボード)

(出典:FACEBOOK

2005年世界選手権で銅メダル、2006年トリノ五輪で金メダルなど、ハーフパイプ種目で数々の功績を残しているハンナ選手は、ベジタリアンを公言しています。 

HUFFPOST によると、『Earthlings』を観たことをきっかけに、動物愛護の意識からベジタリアンダイエットに移行したそう。

 ベジタリアンのアスリートで在ることについて、彼女は以下のように語っています。

(仮訳)
精神的にも肉体的にも、そして感情的にも、これまでにないほど強くなった気がします。植物性の食事は、アスリートとしての道をさらに開いてくれました。全く別の次元に昇華しているのです。1年ほど前に動物を食べるのをやめましたが、新しい人生です。新しい人間、新しいアスリートのような気分です。」(※2017年12月掲載)

 彼女は、高タンパク質スムージーで1日をスタートし、1日を通じて野菜料理と全粒粉穀物を積極的に摂ることを意識しているのだとか。ランチやディナーには野菜炒めにキヌアを添えて食べるのがお気に入りだそうです。
(参考:Why Olympic Snowboarder Hannah Teter Went Vegan ) 

アレクセイ・ヴォエヴォダ選手(ロシア、ボブスレー)

(出典:FACEBOOK)

ロシアの名ボブスレーヤーで、プロのアームレスリング選手としても活躍するアレクセイ選手も、2010年頃からヴィーガンダイエットに移行したそうです。


彼は、ウゴレフ氏の論文『The theory of adequate nutrition』を読み、講義を受けたことをきっかけに、ヴィーガニズムに至ったそう。 

PETA UK によるインタビューでは、ヴィーガンダイエットに移行後の変化を以下のように語っています。 

「まず、無防備な動物の苦しみや痛みを食べなくなったことです。第2に、体が軽くなり、いわばスッキリしたこと。3つ目は、私の職業上、柔軟性と弾力性が非常に重要なのですが、その両方が高まりました。そして4つ目は、風邪やインフルエンザにほとんどかからなくなったことです。」(仮訳)

北京オリンピック2022の食堂でヴィーガンメニューを提供

ロボットによる調理や配膳がされる「スマートレストラン」で話題の、北京オリンピック2022選手村の食堂。
中華、西洋、ファーストフードなど多様なジャンルが用意されていることに加え、ヴィーガン、コーシャ、グリテンフリーメニューも提供されています。
(参考:北京オリンピック2022の食堂では調理も配膳もバーテンダーも「ロボット」が活躍!
本大会でもTikTokでアスリートがシェアしてくれることで、選手村食堂の様子が見れるかもしれません。ぜひチェックしてくださいね。

いかがでしたでしょうか?


厳しい寒さの中でも、安定したパフォーマンスと精神力を求められるウィンタースポーツ選手。そんな中プラントベースの食生活を採用することで、パフォーマンス・身体能力・精神力が向上した選手のエピソードは、植物性食品の可能性を示しています。


寒さを乗り切りこれからの季節を楽しむためにも、選手たちの食習慣をヒントにしてみてくださいね。

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