近年、気候変動や動物福祉への関心が高まる中、自身のライフスタイルや創作活動においてエシカルな選択をする表現者も出てきました。「エシカル(倫理的)」とは、人や社会、地球環境、そして動物の権利に配慮した行動や選択を指す言葉。

東京、ニューヨーク、パリなどを拠点にトップモデルとしてグローバルなキャリアを築き、現在は俳優・監督としても国際的に活躍する岡本多緒(おかもとたお)氏もその一人です。

岡本多緒のプロフィール写真出典:ディケイド

2026年5月に開催された第79回カンヌ国際映画祭において、濱口竜介監督の映画『急に具合が悪くなる』(6月19日全国公開)で主演を務めた岡本氏は、W主演を務めたヴィルジニー・エフィラ氏と共に最優秀女優賞を受賞しました。日本人俳優として初の快挙となるこの受賞は、世界的な注目を集めています。

グローバルキャリアを築く傍ら、岡本氏は動物の権利や環境問題に対して明確なスタンスをっています。そんな彼女が監督・脚本を手がけた短編映画「EXHIBIT」(エクジビット)が、現在期間限定で無料公開されています。冷たい部屋に閉じ込められた人間が、得体の知れない生物に観覧されるという、人間と動物の立場を逆転させた構造をつ本作についてご紹介します。

 

【世界の第一線で活躍する背景と、ヴィーガンへの歩み】

14歳でモデルデビューを果たした岡本氏は、20歳で渡仏後、各国のコレクションで「TAO」の名義で活躍。アジア人で初めてラルフローレンのキャンペーンモデルを務めるなどトップモデルとしての地位を確立しました。

モデルを務める岡本多緒
出典:vougue

その後、2013年公開のハリウッド映画『ウルヴァリン:SAMURAI』で俳優デビューを飾りました。俳優に転身して以降は、長年アメリカを拠点に活動していましたが、2023年に日本へと拠点を移し、現在は国内外を問わず俳優・監督として表現の幅を広げています。

このようなグローバルなキャリアの裏で、環境問題への関心は幼少期からもっていたと岡本氏は語ります1。大人になるにつれてその意識が薄れていた時期もあったそうですが、環境活動家グレタ・トゥーンベリ氏のスピーチに衝撃を受け、再び自身の在り方を見つめ直したと言います¹。

自身のライフスタイルの変化について、いきなり完全なヴィーガンになったわけではなく、約5年間ペスカタリアン(肉類は一切食べないものの、野菜や果物などの植物性食品に加えて、魚介類や卵、乳製品を食べる菜食主義)として生活していた期間があったと明かしています2。その後、環境問題やアニマルライツに関する発信を行う活動家などの発信に触れる中で、段階的にヴィーガンという生き方を選択しました2。しかし、現在は妊娠に伴う自身の身体の変化などの理由からヴィーガンの食生活はお休みしているそうです。

【「未来へのペイバック」。多角的なエシカルなライフスタイルと発信】

段階的に移行してきた彼女のスタンスは、現在の多角的な活動にも一貫して表れています。

「責任ある大人として、未来のためにどうペイバック(恩返し)できるのか」。その問いへの一つの答えとして、岡本氏はポッドキャスト番組「Emerald Practices(エメラルド プラクティシズ)」を立ち上げました1。「環境問題に関心はあるけれど、何から始めていいかわからない」という層に向け、現状を知り、自分たちにできる小さな一歩を発信する同番組は、社会課題に対して同じ思いをもつ人々を繋ぐプラットフォームとしての役割も果たしています。

岡本多緒のポッドキャスト「エメラルドプラクティシズ」出典:エメラルドプラクティシズ

自身の食生活においては、動物の権利と環境への負荷を考慮し、自宅での料理に「ネクストミーツ」などの代替肉を日常的に取り入れています³。

さらに、自身が手がけるアウターウェアブランド「ABODE OF SNOW(アボード・オブ・スノウ)」のものづくりにおいては、「動物を犠牲にしないこと」と「環境負荷をかけないこと(脱プラスチックなど)」の間に生じるジレンマに正面から向き合っています。例えば、ヴィーガンレザーの多くがプラスチック由来であるという課題に対し、新たに動物を犠牲にするのではなく、「100%リサイクルされた羽毛とダウン」を再洗浄して使用するという独自の答えを提示しています³。

 

【人間と動物の立場を逆転させた短編映画『EXHIBIT』】

岡本氏は俳優業にとどまらず、2023年の初監督作「サン・アンド・ムーン」を皮切りに、映画監督としても活動の幅を広げています。短編映画『EXHIBIT』は、彼女が監督・脚本だけでなく、撮影・編集までのすべてを一人で手がけました。本作は、スマートフォンを用いた撮影を基本とし、一人のクリエイターが全工程を担当する10分間の映像フォーマット「てのひら映画(AEOS株式会社が運営)」の第1回プロジェクトとして企画・制作されました。

岡本多緒監督のショートフィルム「EXHIBIT」
映画EXHIBITのポスター

 

タイトルの「EXHIBIT」は「展示物」を意味します。岡本監督が「人間と動物の立場を逆転させることで疑問を表現した」と語る本作は4、あらすじにおいて「コンクリートの冷たい無機質な部屋に閉じ込められている無気力な女」の姿を描くストーリーとして紹介されています5

本作は、密室の限られた空間を近距離で切り取っています。登場人物のセリフによる説明が省かれ、コンクリートの部屋に響く環境音が人間が展示される側の状況をより際立たせています。

 

短編映画『EXHIBIT』は、現在YouTubeにて期間限定(6月1日〜6月14日)で無料公開されています。ぜひ、岡本氏の提示する鮮烈な問いに触れてみてください。

 

【岡本多緒氏 プロフィール・作品情報】 

1985年5月22日生まれ、千葉県出身。 14歳で日本でモデルデビュー。2006年に渡仏しパリコレに参加。その後 “TAO”の名義でミラノ・ロンドン・ニューヨークと数々のトップメゾンのショー、雑誌、ワールドキャンペーン広告に多数出演し、トップモデルとして活躍。2013年には、米映画『ウルヴァリン:SAMURAI』でスクリーンデビューを果たし、日本でも大きな話題を呼ぶ。その後もハリウッド作品を中心に、国内外で数々のドラマや話題作に出演。2023年より、拠点を日本に移し”岡本多緒”として活動をスタート。さらに同年、自身で初めて企画・監督・脚本・出演を手がけた短編映画「サン・アンド・ムーン」が、第36回 東京国際映画祭 Amazon Prime Video テイクワン賞のファイナリスト作品に選出されるなど、多岐にわたって活動中。2026年6月19日には、主演映画「急に具合が悪くなる」(濱口竜介監督)の公開が控える。

▼各種リンク
・Podcast『Emerald Practices』:https://lit.link/emeraldpractices
・アウターウェアブランド「ABODE OF SNOW」:https://abodeofsnow.com/
・短編映画「EXHIBIT」本編動画:https://www.youtube.com/watch?v=-G-Eluwf-h8

 

【関連記事】

ヴィーガンファッションとは?責任ある消費行動で未来を変える | VegeTime ベジタイム

ヴィーガンに関する国際サミットがロサンゼルスで開催!日本からはベジプロジェクトが登壇 | VegeTime ベジタイム

ヴィーガンがテーマの曲がリリース | VegeTime ベジタイム

 

〈出典〉

1: Emerald Practices Ep.1【気候変動って何?】

2: Emerald Practices Ep.8【ヴィーガニズムって何?】(岡本多緒氏がホストを務めるポッドキャスト番組「Emerald Practices」:https://lit.link/emeraldpractices

3: TAOに一問一答 エシカルライフと手がけるブランドについて教えて!【Q&A with TAO】 | Numero TOKYO

4:https://movieon.jp/ymf/archive/2024/detail/detail02.html

5:https://www.atpress.ne.jp/news/601179

Published On: 2026/06/11

近年、気候変動や動物福祉への関心が高まる中、自身のライフスタイルや創作活動においてエシカルな選択をする表現者も出てきました。「エシカル(倫理的)」とは、人や社会、地球環境、そして動物の権利に配慮した行動や選択を指す言葉。

東京、ニューヨーク、パリなどを拠点にトップモデルとしてグローバルなキャリアを築き、現在は俳優・監督としても国際的に活躍する岡本多緒(おかもとたお)氏もその一人です。

岡本多緒のプロフィール写真出典:ディケイド

2026年5月に開催された第79回カンヌ国際映画祭において、濱口竜介監督の映画『急に具合が悪くなる』(6月19日全国公開)で主演を務めた岡本氏は、W主演を務めたヴィルジニー・エフィラ氏と共に最優秀女優賞を受賞しました。日本人俳優として初の快挙となるこの受賞は、世界的な注目を集めています。

グローバルキャリアを築く傍ら、岡本氏は動物の権利や環境問題に対して明確なスタンスをっています。そんな彼女が監督・脚本を手がけた短編映画「EXHIBIT」(エクジビット)が、現在期間限定で無料公開されています。冷たい部屋に閉じ込められた人間が、得体の知れない生物に観覧されるという、人間と動物の立場を逆転させた構造をつ本作についてご紹介します。

 

【世界の第一線で活躍する背景と、ヴィーガンへの歩み】

14歳でモデルデビューを果たした岡本氏は、20歳で渡仏後、各国のコレクションで「TAO」の名義で活躍。アジア人で初めてラルフローレンのキャンペーンモデルを務めるなどトップモデルとしての地位を確立しました。

モデルを務める岡本多緒
出典:vougue

その後、2013年公開のハリウッド映画『ウルヴァリン:SAMURAI』で俳優デビューを飾りました。俳優に転身して以降は、長年アメリカを拠点に活動していましたが、2023年に日本へと拠点を移し、現在は国内外を問わず俳優・監督として表現の幅を広げています。

このようなグローバルなキャリアの裏で、環境問題への関心は幼少期からもっていたと岡本氏は語ります1。大人になるにつれてその意識が薄れていた時期もあったそうですが、環境活動家グレタ・トゥーンベリ氏のスピーチに衝撃を受け、再び自身の在り方を見つめ直したと言います¹。

自身のライフスタイルの変化について、いきなり完全なヴィーガンになったわけではなく、約5年間ペスカタリアン(肉類は一切食べないものの、野菜や果物などの植物性食品に加えて、魚介類や卵、乳製品を食べる菜食主義)として生活していた期間があったと明かしています2。その後、環境問題やアニマルライツに関する発信を行う活動家などの発信に触れる中で、段階的にヴィーガンという生き方を選択しました2。しかし、現在は妊娠に伴う自身の身体の変化などの理由からヴィーガンの食生活はお休みしているそうです。

【「未来へのペイバック」。多角的なエシカルなライフスタイルと発信】

段階的に移行してきた彼女のスタンスは、現在の多角的な活動にも一貫して表れています。

「責任ある大人として、未来のためにどうペイバック(恩返し)できるのか」。その問いへの一つの答えとして、岡本氏はポッドキャスト番組「Emerald Practices(エメラルド プラクティシズ)」を立ち上げました1。「環境問題に関心はあるけれど、何から始めていいかわからない」という層に向け、現状を知り、自分たちにできる小さな一歩を発信する同番組は、社会課題に対して同じ思いをもつ人々を繋ぐプラットフォームとしての役割も果たしています。

岡本多緒のポッドキャスト「エメラルドプラクティシズ」出典:エメラルドプラクティシズ

自身の食生活においては、動物の権利と環境への負荷を考慮し、自宅での料理に「ネクストミーツ」などの代替肉を日常的に取り入れています³。

さらに、自身が手がけるアウターウェアブランド「ABODE OF SNOW(アボード・オブ・スノウ)」のものづくりにおいては、「動物を犠牲にしないこと」と「環境負荷をかけないこと(脱プラスチックなど)」の間に生じるジレンマに正面から向き合っています。例えば、ヴィーガンレザーの多くがプラスチック由来であるという課題に対し、新たに動物を犠牲にするのではなく、「100%リサイクルされた羽毛とダウン」を再洗浄して使用するという独自の答えを提示しています³。

 

【人間と動物の立場を逆転させた短編映画『EXHIBIT』】

岡本氏は俳優業にとどまらず、2023年の初監督作「サン・アンド・ムーン」を皮切りに、映画監督としても活動の幅を広げています。短編映画『EXHIBIT』は、彼女が監督・脚本だけでなく、撮影・編集までのすべてを一人で手がけました。本作は、スマートフォンを用いた撮影を基本とし、一人のクリエイターが全工程を担当する10分間の映像フォーマット「てのひら映画(AEOS株式会社が運営)」の第1回プロジェクトとして企画・制作されました。

岡本多緒監督のショートフィルム「EXHIBIT」
映画EXHIBITのポスター

 

タイトルの「EXHIBIT」は「展示物」を意味します。岡本監督が「人間と動物の立場を逆転させることで疑問を表現した」と語る本作は4、あらすじにおいて「コンクリートの冷たい無機質な部屋に閉じ込められている無気力な女」の姿を描くストーリーとして紹介されています5

本作は、密室の限られた空間を近距離で切り取っています。登場人物のセリフによる説明が省かれ、コンクリートの部屋に響く環境音が人間が展示される側の状況をより際立たせています。

 

短編映画『EXHIBIT』は、現在YouTubeにて期間限定(6月1日〜6月14日)で無料公開されています。ぜひ、岡本氏の提示する鮮烈な問いに触れてみてください。

 

【岡本多緒氏 プロフィール・作品情報】 

1985年5月22日生まれ、千葉県出身。 14歳で日本でモデルデビュー。2006年に渡仏しパリコレに参加。その後 “TAO”の名義でミラノ・ロンドン・ニューヨークと数々のトップメゾンのショー、雑誌、ワールドキャンペーン広告に多数出演し、トップモデルとして活躍。2013年には、米映画『ウルヴァリン:SAMURAI』でスクリーンデビューを果たし、日本でも大きな話題を呼ぶ。その後もハリウッド作品を中心に、国内外で数々のドラマや話題作に出演。2023年より、拠点を日本に移し”岡本多緒”として活動をスタート。さらに同年、自身で初めて企画・監督・脚本・出演を手がけた短編映画「サン・アンド・ムーン」が、第36回 東京国際映画祭 Amazon Prime Video テイクワン賞のファイナリスト作品に選出されるなど、多岐にわたって活動中。2026年6月19日には、主演映画「急に具合が悪くなる」(濱口竜介監督)の公開が控える。

▼各種リンク
・Podcast『Emerald Practices』:https://lit.link/emeraldpractices
・アウターウェアブランド「ABODE OF SNOW」:https://abodeofsnow.com/
・短編映画「EXHIBIT」本編動画:https://www.youtube.com/watch?v=-G-Eluwf-h8

 

【関連記事】

ヴィーガンファッションとは?責任ある消費行動で未来を変える | VegeTime ベジタイム

ヴィーガンに関する国際サミットがロサンゼルスで開催!日本からはベジプロジェクトが登壇 | VegeTime ベジタイム

ヴィーガンがテーマの曲がリリース | VegeTime ベジタイム

 

〈出典〉

1: Emerald Practices Ep.1【気候変動って何?】

2: Emerald Practices Ep.8【ヴィーガニズムって何?】(岡本多緒氏がホストを務めるポッドキャスト番組「Emerald Practices」:https://lit.link/emeraldpractices

3: TAOに一問一答 エシカルライフと手がけるブランドについて教えて!【Q&A with TAO】 | Numero TOKYO

4:https://movieon.jp/ymf/archive/2024/detail/detail02.html

5:https://www.atpress.ne.jp/news/601179

Published On: 2026/06/11
https://vegeproject.org/
https://vegemap.org/
https://vegeproject.org/tokyovegemap_kyotovegemap/
https://store.md-holdings.com/pages/kenkoukan/