先日NPO法人ベジプロジェクトジャパンヴィーガン認証を取得された柿渋染め帆布カバンの製造販売を行うSolid&Strong BAG STOREさんに取材に行ってきました。とても温かなお人柄の店主、小林純子さんに開業や、帆布カバン、柿渋染めに対する思いなどをお話しいただきました。

店主の小林純子さん(左)とご主人の小林洋さん(右)

~・~・~・~ 目次 ~・~・~・~

  1. Solid&Strong BAG STORE
  2. 開業への思い
  3. カバンへのこだわり
  4. 柿渋染めとの出会い
  5. 店主、小林さんの挑戦
  6. 柿渋染め帆布カバンの可能性
  7. 長くお使いいただくために
  8. 小林さんの思い
  9. まとめ

【Solid&Strong BAG STORE】

Solid&Strong BAG STOREさんは植物性天然素材のみを使用したカバンを製造販売されています。カバンのデザインから裁断・縫製・製品染めまで、店主である小林さんが全て1人で行われ、お客様一人一人のご要望に合わせてオーダーメイドで製作されています。またカバンを長くお使いいただくために、製品の修理や重ね染めも行われています。

【開業への思い】

小林さんは東京の神田で登山用品・その他の帆布製品の製造販売を行う細野商店に生まれ、幼い頃から職人の中で育ち、20年以上家業の帆布カバンの製作に携わってきました。

そんな中「大量生産大量消費」や「使い捨て文化」が主流の世の中となり、老舗ならではの良さと世間から求められるもののギャップを次第に感じるようになりました。

物が溢れる世の中で、1つの製品を長く使っていただけるよう、「お客様一人一人の気持ちを汲んだカバンを作りたい」との思いからSolid&Strong BAG STOREを開業しました。

【カバンへのこだわり】

お客様に良いカバンを長く使用してもらうため、全て土にかえる100%天然素材のみを使用した、自然環境に優しいカバン製作を決めました。

布カバンであっても防水効果のため動物性由来の蜜蝋が含まれている製品も多いですが、Solid&Strong BAG STOREさんのカバンには動物性由来の素材は一切含まれていません

<工夫例>

☆蓋ができるカバン

壊れやすく、カバンが廃棄される原因にもなりうるファスナーの代わりに、布の蓋を使用

☆肩ひもの長さ調節

金具の代わりに肩掛けをリボンにし長さ調整、その日のコーディネートに合わせて結び方をアレンジできる

【柿渋染めとの出会い】

自然環境に優しいカバン製作にあたり、より良い素材を探していく中で小林さんは柿渋染めに出会いました。

<柿渋染めとは>

柿渋染めとは柿渋から作った柿渋液で染色する方法で、染色と天日干しを繰り返すことで色味が濃くなっていきます。

柿渋には布に防虫、抗菌、防腐、消臭作用を与える特徴があり、染め重ねることにより防水、補強効果が高まります。

<自然環境に優しい柿渋染め>

天然染料のみで染める柿渋染めは、染色の際に温度を上げる必要がなくCO2が発生しないため環境負荷が非常に低い染め方です。

また、染色後に生地を洗う必要がないため、他の染色方法と比べ水をあまり使用しない点も柿渋染めの特徴です。

これらの柿渋染めの特徴は小林さんの「環境負荷の低い製品作りを行いたい」との思いにうってつけのものでした。

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柿渋による布の染色方法にはあらかじめ生地を染める「生地染め」とカバン製作の後に染める「製品染め」があります。

Solid&Strong BAG STOREさんでは、立花テキスタイル研究所で使用している尾道柿園の無農薬柿渋を使用し、店主の小林さんが製品染めと一部の生地染めを手染めで行っています。

立花テキスタイル研究所で生地染めされた生地を使用することもあります。

「染め作業は通常5~6回ほど行い、生地として使用できるようになるまで1~2カ月ほどかかります。だから小さな生地一つ一つにも愛着がわき、なるべく生地の無駄を出さないよう裁断しているんです。」と笑顔で教えてくださいました。

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【小林さんの挑戦】

柿渋染めは化学薬品を一切使用しない染色方法であるため、水の成分・季節・天候によって発色が微妙に異なります。そのため一定の商品を作るのが難しく柿渋染めを行う工房は年々減少しています。

しかし小林さんは「やっている人が少ないからこそ自分がやろう、型にはまったことをやるのはつまらない」との思いから、柿渋染め1本で開業することに決めました。

【柿渋染め帆布カバンの可能性】

~布製カバンでエイジングが楽しめる!?~

<柿渋染めの魅力>

柿渋染めの布製カバンでは、化学染料による染色では味わうことのできないエイジングを楽しむことが出来ます。

使い方や使用環境により色味が変化するため、カバンがその人の暮らし方を反映した唯一無二のものへと変化していきます。

日光に当てることで色味が濃くなる柿渋染めの特徴から、外で多く使用すればカバンの色味は濃くなっていきます。

<様々なシーンでつかえる帆布カバン>

帆布カバンと聞くと皆さんはどのようなイメージをお持ちでしょうか。

「昔ながらの、という枕詞が付き素朴なイメージをもたれる方、ただの実用的な袋物だと考えられる方も多いです。帆布カバンにはスタイリッシュなものから実用的なものまであるんです。」と話す小林さん。

帆布カバンの可能性は実用的な袋物にはとどまりません。帆布カバンは様々なシーンでご使用いただけます

ビジネスシーン

生地染めされた生地を用いることで、生地がしっかりとしたカバンとなります。

また鉄媒染を行えば、ビジネススタイルに適した暗めな色味のカバンに仕上がります。

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鉄媒染とは

柿渋の「鉄分に反応すると黒色に近くなる」という性質を生かした染色方法です。

Solid&Strong BAG STOREさんでは、造船業が盛んな尾道の鉄工所から出る鉄の粉と国内原料のみを使用したオーガニック木酢液を配合し、媒染液を作成しています。

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普段使いのおしゃれなカバン

帆布カバンの形は四角だけではありません。

このように、丸みを帯びた形や装飾をつけたカバンなどファッション性の高いカバンも多数存在します。

また帆布カバンは革製品と比べとても軽いため、持ち運びに大変便利です。

【長くお使いいただくために】

お客様のご要望に合わせて、理想のカバンを製作しています。

カバンのサイズを聞くだけではなく、どのように使うのか、などのお客様のライフスタイルをお聞きし、デザインしています。

また、「買う、売る」というたった1度の行為で終わるのではなく、カバンを長く使えるよう修理を引き受け、お客様一人一人と長くお付き合いしています。

修理をすることでお客様の中には10年以上使われる方や、母親が学生時代に使用していたカバンを修理し娘が引き継ぐなど、世代を超えて楽しんでいただいている方もいます。

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☆修理例

持ち手のみ変更、布が薄くなってしまった部分の補強、色褪せてきた際の重ね染めなど

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【小林さんの思い】

柿渋染めの良さを広め、おしゃれの一環としてスタイリッシュな柿渋染め帆布カバンを楽しんでいただきたいです。

近年環境問題が深刻化していますが、一人一人のちょっとした意識や行動の変化が、社会の大きな変化へと発展します。自然環境に優しく資源を無駄にしないカバン製作を通して、人々が今ある生活を見直すきっかけになれればと考えています。

【まとめ】

取材を通して小林さんは、カバン製作を心から楽しんでいらっしゃると感じました。また、「難しいからこそやってみよう」という挑戦心に溢れ、どのような質問にもとても気さくにお答えいただきました。

この記事だけではSolid&Strong BAG STOREさんの魅力は伝えきれません。

是非一度店舗を訪れ、実際にカバンを手に取ってみてください。

≪Solid&Strong BAG STORE≫

住所東京都 渋谷区千駄ヶ谷5-18-20 西沢ビル1階
最寄り駅代々木駅、北参道駅
道順JR代々木駅から徒歩3分
東京メトロ副都心線北参道駅3番出口から徒歩3分
電話番号03-5357-7914
営業時間12:00 ~ 19:00
定休日月曜、年末年始
クレジットカードVISA,MasterCard,AmericanExpress
HPhttps://www.solid-strong-bagstore.com/
Instagramhttps://www.instagram.com/solidandstrong_bagstore/


Published On: 2020/10/11
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