ヴィーガンに優しい街として知られるニューヨークでは、いろいろなシーンでヴィーガンの普及が進んでいます。最近話題になったのが、公立学校におけるヴィーガン給食の導入です。米国最大と言われるニューヨーク市。その学区に通う生徒およそ100万人に、2月からの毎週金曜日、動物性食材を使わないヴィーガン給食が提供されることになりました。
大人だけでなく子どもの肥満も問題になっている米国では、健康的な食事で生活の質を改善する必要性が叫ばれてきました。ニューヨーク市では、2019年と2021年に、肉を使わないミートレス給食を曜日限定で実施した実績があり、今回のヴィーガン給食の導線となっています。
この決定には、1月に就任したエリック・アダムス市長の個人的な経験も影響していると報じられています。プラントベースの食事で糖尿病を改善させた同市長は、個人的にも積極的にヴィーガンの普及に努めています。カリフォルニア州でもヴィーガン給食を検討しており、食生活を見直すきっかけになる効果が実証されれば、この動きは全米に拡大するかもしれません。
3月20日はミートアウトデー
子どもたちの給食に加え、全市民を対象にした啓蒙活動も進んでいます。今年から、3月20日をミートアウトデーとし、ヴィーガンメニューが手に入りやすい環境を整備することになりました。1985年にファーム・アニマル・ライツ・ムーブメント(FARM)が提唱したミートアウトのコンセプトがもとになっており、テキサス州ヒューストンやオハイオ州シンシナティなど、全米14の都市が取り組みに参加し、カナダにも影響が及んでいます。
3つ星レストランもヴィーガンに
外食産業では、ミシュランの3つ星レストラン「イレブン・マディソン・パーク」が昨年5月、全メニューをヴィーガンに転換すると発表し、業界関係者を驚かせました、2017年に「世界のレストラン・ベスト50」で1位に輝いたこともある同レストレンのシェフ、ダニエル・フム氏は、地球環境と食のシステムを考慮した当然の結果だと言います。フムしは、料理をいちから見直す作業は容易ではないとしながらも、非営利団体を通じて貧困層に食事の提供をする活動を始めるなど、高級レストランのイメージにとらわれない新しい道を開拓しています。
ニューヨーク在住のレポーターによると、ヴィーガンを自称しない若者たちの間でもミートレスな食事が注目されているようです。ニューヨークにある手頃な料金のヴィーガンレストランには、どんな料理が食べられるのか試したくて訪れる若者が増えているとも言われます。彼らの間でヴィーガン料理はおいしいという認識が広まり、顧客層の拡大につながっています。ヴィーガンライフを積極的に発信する多くのハリウッドスターや著名なスポーツ選手の存在が大きいことは、言うまでもありません。
ファッション、ビジネス、エンターテインメントなどさまざまな分野で常に世界をリードしてきたニューヨーク。今年からヴィーガン市長も加わり、トレンドを探る場所としてますます目が離せなくなりました。
日本においては、2017年から内閣府の食堂でベジタリアンメニューが導入され、台東区役所でもヴィーガン認証付きメニューが複数提供されています。これらの活動に紐づいているのがNPO法人ベジプロジェクトジャパン。同団体は、自治体や企業、大学等と協力し、ヴィーガンメニューが選べる場所が増えるよう活動を続けています。
ベジプロジェクトでは会員の募集やインターン生の受け入れもしています。活動に関心をもたれた方は、同団体に連絡をしてみては。
【参照記事】
・日テレNEWS NY公立小学校で“ヴィーガン給食”始まる
・日本経済新聞 毎週金曜日は「ビーガン給食」 NY市が公立学校に導入
・REUTERS New York City’s public school system goes meat-free on Fridays
・Vegconimist NYC Public Schools Now Serving Vegan Meals to Nearly 1M Students