私がベジタリアンだと伝えると「ベジタリアンに初めて会った!」とか、「珍しいね。」とか「どうしたの、宗教?」とか、いろんな反応を受けます。日本人にベジタリアンだと伝えると、大抵は驚かれるか、ネガティブな反応が返ってくることが多いです。一方、イギリスやベルギーで暮らしていた頃や、日本にいても外国人にベジタリアンだと伝えると「いいね!」「良いことだ、自分も少しは心がけているよ。」とか、ポジティブな反応を受けることが多いのです。そして、身近な人にベジタリアンがいる人がいたり、ベジタリアンでもないのに美味しいベジタリアンのレストランを知っていて連れて行ってくれたりします。

これは、日本ではベジタリアンが身近にいなかったり、そもそも何故ベジタリアンになるのかを知ることがなかったりするからだと思います。そこで、ベジタリアンとして素敵に生きている人々や、ベジタリアンに関わっている方々を取材し、“ベジタリアンポートレートづくり”を始めます!ベジタリアンについてもっと知って頂ける機会になれば。

まず第一回目は、こんな私の思い付き企画に快諾してくれた心優しいクリス君です。クリス君は、お母様が日本人、お父様がイギリス人の26歳。イギリス育ちで2016年から日本に住んでいます。度々、彼とは仕事を共にすることもあるのですが、人がしない面倒な仕事も手伝ってくれるような本当に優しくて礼儀正しい好青年です。では、インタビュー開始!

―自己紹介をお願いします。

ハイ!クリスです。イギリスと日本のハーフで、イギリスから来ました。今は日本で日本語を勉強しながら、英語を教えています。1年前に日本に引っ越してきたばかりだから、ベジタリアニズムに対しての日本人の意見にとっても興味があります。そして今回は、ベジタリアンに関しての僕の意見をシェアしたいと思います。日本で、ベジタリアンやヴィーガンのライフスタイルについて、たくさんの人と話すことを楽しみにしています!よろしくお願いします。

photo: お気に入りのレストランで食事をするクリス君

―では1つめの質問、なぜベジタリアン・ヴィーガンになったのですか?

15歳頃に、ベジタリアンになることを決めました。でも、これを決めた理由の記憶はあまり強くないです。ティーン(10代の若者)が世の中のことに気が付き始めるときがその頃だと思います。僕の家ではしていなかったけど日曜日にはビーフローストとステーキのディナーを食べるというイギリスの伝統が、なんだか自分にとっては本当に理解できないものでした。ベジタリアンになることは、自分にとっては、理想的な人により近いことを選ぶ方法だったと思います。それから、マッチョと心地悪さを連想させる肉食を否定したい気持ちもあったと思います。

そして、ヴィーガン(肉魚、卵乳製品はちみつを食べない)になったのは、大学のころで、僕がいつも、何でもチーズと一緒に食べていたから友達がジョークでずうずうしく1週間ヴィーガンの生活を送るように言ってきたとき。その1週間後、当時暮らしていたグラスゴーではヴィーガンの食品が非常に簡単に手に入るのでベジタリアンに戻る必要がないと気が付いたんです。それから、僕は食に関係する動物の権利や環境問題についてもっと勉強しました。でも、当時はエシカルなこと(動物の権利や環境問題といった倫理的なこと)が、食生活が変わった1番の理由ではなかったと思います。人生に変化が欲しかったんだ!

‐ベジタリアンで幸せを感じたときは、どんな時でしたか?

ほとんどの幸せな僕のストーリーは、いつも素晴らしい食べ物を楽しめている時だと思います!きっとこれからも一番強く記憶に残っていると思うことは、19歳のころに、大阪の親戚を訪ねたとき。親戚の友人が僕たちをたった2つしかテーブルのないレストランの裏にある小さなキッチンに連れて行きました。なんの期待もなかったけど、控えめな年配の日本女性によって次から次に出て来るとてもシンプルなお米や野菜を使ったお料理がご馳走されました。僕は、これからもずっとそのお料理のとても深い味わいを決して忘れることはないと思います。

その経験が、僕を何度も日本に来させているとさえ思います。

―日本のベジタリアニズムやヴィーガニズムについて思うことはありますか?

もし日本で育っていたら、ベジタリアンではない可能性もあると思います。だって、日本ではベジタリアンでいることは都合の悪い時や、ライフスタイルとして理解されないことがよくあるから。たとえばイギリスでは、BBC(英国放送協会)がマーティンフリーマンのヴィーガンドラマをちょうど告知していたのですが、もし同じことをNHKがしたら制作チームの誰かは解雇されるんじゃない?笑

でも、日本の今を他の国と比較することはよくない事ですよね。僕は日本のベジタリアニズムの将来に期待をもっています。

都合が悪いということがベジタリアニズムへの最大の障害だとしたら、そして、動物性の食べ物を避けることが本当に大変なことだとしたら、だれ1人してベジタリアンを続けるエネルギーをもつことはないといつも感じています。だから、一般のベジタリアンへの認識を高めたりベジタリアンでいることをもう少し簡単でいられるようにしているベジプロジェクトを応援しているんです。

photo: 奈良への旅行時

―わぁ、ありがとうございます!がんばります。

好きな食べ物やお気にいりのレストランを教えてくれますか?

ファラフェル!

いつだってファラフェルが好きです。誰かがもしグラスゴーに行くなら、Scherezadeという名前の本当に素晴らしいデリがバンクストリートにあるので、そこに行くことを強くオススメします。ファラフェルをベークされたなすびと手作りのフムスでファラフェルのラップを作ってくれます。そこのお店は、中東のあらゆる種類の食べ物を作っていて、焦がしたナスで作るババガヌシュやソラマメで通られるフール・ミダミス、世界中で一番かもしれないガーリックオリーブは最高です。

もし、豆やスパイスが好きだったら、きっとこのお料理を大好きになると思います。

東京だったら、ファラフェルを食べた場所でベストだったのは、なぎ食堂です。そのお店では揚げ物や大豆を使ったもの等いろんな種類のお料理も食べられます。こういったお料理を提供してくれているお店があることに僕はとても感謝しています。だって、ヴィーガンが座ってサラダだけを食べている人だというイメージを消してくれるから。揚げ物も好き!

photo: ファラフェル

―そうですね、ヴィーガンも美味しいお料理がたくさんあること、なかなか知られていないですよね。そしてファラフェル私も好きです!

では、ベジタリアンから少し離れた話題を。趣味とかありますか?

僕がファラフェルについて話していないときは、ほぼ音楽を聴いています!実際、西洋のアーティストのうちのかなりの割合がベジタリアンのミューシャンだったりします。1人選ぶとしたらザ・スミス。特に、「ミートマーダー」というタイトルの刺激的なアルバムがあったりもしますが、彼は80年代に若者たちの意識を高めたことへ確実に貢献しています。僕はモリッシーが最近言っている事のほとんどは無視した方が良いと思っていますが、ザ・スミスは僕のベジタリアニズムの考え方や育ち方に何等かの影響を与えていると思います。だから、Erykah Badu、Thom Yorke、Grimesといった僕が尊敬するアーティストたちと共通するところを僕もシェアしていると気づくことがよくあるんです。

―なるほど、趣味の音楽もベジタリアンに関連していくのですね。色々深堀りしたいですがまたの機会に。そして最後の質問です。好きな女の子のタイプはどんな子ですか?彼女になる人はベジタリアンであってほしいと思いますか?

はは(笑)、自分が好きなタイプがあるとは思わないです。僕にとって大切なことは、2人の関係の中で心地よく感じられるかということ。そして、お互いに学んでいくことができるかということだと思っています。

だから、ベジタリアンではない人とのデートでも特に問題はないです。もし彼女たちが僕の食生活を受け入れられないときは問題になるだろうけど、それだけです。

僕にとって、ヴィーガニズムへの関心は、社会的な正義へのムーブメントの1つで、今世の中が一部の人達にとっては都合の良いような難しい時代だから、僕はただ、人でも動物でも僕たちのサポートが必要な人や動物たちに思いをはせることができたら良いと思っているだけなんです。

―なんと優しい想いと行動。

今回は、たっぷりベジのお話しを聞かせて頂き、ありがとうございました。

またイギリスのベジ事情も教えてくださいね!

Written by HARUKO K

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