令和元年11月6日、与野党議員による超党派の「ベジタリアン/ヴィーガン関連制度推進のための議員連盟」(通称:ベジ議連)が発足されました。
初会合には、議員、各省庁、東京都、ベジタリアン・ヴィーガンに関する取組みをしている国内の団体、そして大勢のマスメディアの方が集いました。
世界ではベジタリアン・ヴィーガンが増え、市場も拡大しています。一方で、日本ではベジタリアン・ヴィーガンに対する対応が十分ではなく、国内でベジタリアンやヴィーガンの方々が困っているという状況です。
2020年にオリンピック・パラリンピックを控え、訪日外国人も増えている中、ベジタリアン・ヴィーガン対応は必須です。
そのような状況の中、このベジ議連が発足されました。
松原仁衆議院議員(無所属)、⽯⽥祝稔衆議院議員(公明党)等の発起人、会長に任命された河村建夫元官房⻑官(自民党)がお話しされた後、各団体の発表に入りました。
NPO法人ベジタリアン協会は自分たち協会の基準こそが国際基準だと主張し、13年前のイギリスでの事案(現地では既にアーカイブ化済み)が紹介されました。(*ベジタリアン、ヴィーガンに関して国際基準と呼ばれるものは現時点ではありません。)
NPO法人ベジプロジェクトジャパンの川野陽子代表からは、ベジタリアン・ヴィーガンに関する最近の世界情勢、国内の状況と課題、取組みにおける要点が発表されました。
Tokyo Vegan Meetup(東京ヴィーガンミートアップ)およびJapan Vegan Labeling and Options Projectのナディアマッケクニー代表からは、ベジタリアン、ヴィーガンが食べるものが無い状況が説明され、ベジタリアン・ヴィーガンの表示を求める署名が提出されました。
その他、国際環境 NGOグリーンピース ジャパン、ベジタリアン関連のメディアVegewel(ベジウェル)、ミートフリーマンデーオールジャパン等のグループがそれぞれの活動と政府への依頼を伝えました。
日本においてベジタリアン・ヴィーガンの選択肢が非常に限られている現状で、ベジタリアン、ヴィーガンに直接関係ないとされる要素までをベジタリアン・ヴィーガンの基準に入れ規制することを要望する団体もあれば、とにかく原材料として動物不使用のものを増やして欲しいと訴える団体もありました。
各省庁からは、それぞれの専門分野に関する対応の現状や将来の可能性を発表されました。
たとえば、消費者庁からは「国際的な基準も統一されたものはない中、義務付けの表示を作ることは慎重にしなければいけない。義務付けには当然罰則が伴う。」と発表されました。
農水省からは「ベジタリアン、ヴィーガンに特化した取り組みは現在なく、飲食店のインバウンド対応推進の1つとして取組んでいる。飲食店の方向けのガイドブックを作成していて、その中にベジタリアンについて注意するべき食材の紹介をしている。」と紹介がありました。
観光庁からは、増加するインドからの訪日客に注目し、ベジタリアン対応の必要性、環境省からは、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)でもベジタリアン、ヴィーガンの食生活が地球温暖化改善のために役立つこと等も紹介されました。
また、議員の方にベジタリアン・ヴィーガン料理を知ってもらう企画もありました。
シューマイ、唐揚げ、餃子といった、普通なら動物に由来する食べ物がたくさん入ったベジタリアン・ヴィーガンのお弁当が配布され、議員の皆様も驚きながら楽しく美味しく召し上がっていました。
ベジタリアン・ヴィーガンの選択が世界で広がる背景には、食の嗜好や健康、ダイエットという側面だけではなく、地球環境や動物福祉、動物の権利といったエシカル性や、食糧問題といった今後避けられない課題にも紐づきます。
今回の議連発足が、そういった背景や理由への理解の促進に繋がることができれば、より良いことだと感じています。
まずは国際的な状況、本当にベジタリアン・ヴィーガンの人たちが望む状況を、政府としてきちんと把握し議論が進むことを期待しています。そして、ベジタリアンとは何か、ヴィーガンとは何か、その対応をするにはどうすれば良いのか、といった基本的なこと(のみ)を盛り込んだガイドラインができれることを切願しています。
これからのベジタリアン議連の動きに注目です。